【新潟】渡邊泰基の「第2のデビュー」は悔しすぎる敗戦。ビッグチャンスに「打つと決めていた」思い切りが魅力的
明治安田生命J2リーグ第7節は3月30日のナイトゲームになったが、アルビレックス新潟はジェフユナイテッド千葉と対戦した。渡邊泰基が移籍復帰後、初めてピッチに立ったが、自己評価は辛口。「もう少しダイナミックに」と自らに求めている。
■2022年3月30日 J2リーグ第7節(フクアリ/4,852人)
千葉 1-0 新潟
得点者:(千)鈴木大輔
「もう少しダイナミックに」
渡邊泰基にとってうれしい「復帰戦」のはずが、アディショナルタイム5分にCKから決勝ゴールを決められるまさかの結末で、0-1の黒星。
「まずは勝ち点3が取れなかったことがすごく悔しいです。試合を通じてチャンスが多くありましたし、相手が狙っている部分で失点したのは修正しなければいけない」
開口一番、悔しさが突いて出るのも無理はない。早いものでプロ5年目だが、ここ2年はツエーゲン金沢に期限付き移籍してプレーしてきた。強さや激しさをスケールアップさせてカムバック、左サイドバックにはキャプテンの堀米悠斗がいるが、勝負するために帰ってきた。
「自分の強みは対人や球際の強さなので、負けたくないと思って毎日やっています」
そしてようやく7戦目にしてつかんだチャンスだったのだ。松橋力蔵監督はその守備力と高さを買って起用したことを明かす。
「いいパフォーマンスを発揮してくれたと思います。起用したのはジェフの高さへの対応で、そこはしっかりプレーしてくれました。後半に代えましたが、点を取りにいく中でより攻撃的なサイドバックとして堀米(悠斗)を投入したからです」
もちろん渡邊は自分の役割を心得ていた。 「高い選手に向かってロングボールを狙ってきたので、最初に競って負けないようにするところは徹底しました」
千葉はGK新井章太が大きく蹴ってゴールから遠ざけるようにボールを送ってくることが多かったが、センターフォワードに櫻川ソロモンがいたからだ。渡邊も担当のエリアに飛んでくれば、180センチの自分よりも10センチも大柄な相手に果敢に体をぶつけて自由にさせなかった。
一方の攻撃面では、課題を残したという自己評価。まずは、攻撃に移る最初のパスでミスが多かったことを猛省する。
「自分の中ではうまくいっていませんでした。ボールを回収したところからのパスミスは気になっていて、すぐにでも変えられるので修正していきたい」
その先に、自分自身がサイド深くを取っていくアクションが足りないことも挙げた。
「前の選手との関係性をもう少し整理しなければいけないと思います。自分の上下動が少なかったので、もう少しダイナミックに前に出ていくところは自分の特徴ですから、それを出せないとダメだなと」
それでも、ビッグチャンスはあった。22分のシーンだ。右サイドで快活につなぎ、本間至恩の絶妙なスルーパスで松田詠太郎が右深くに入ってセンタリング。高木善朗がヘッドで触ったが逆サイドに流れてきたところに、渡邊がいた。 「こぼれてきたときには打つと決めていました。もう少しファーを狙ったんですけど、相手もいてミートできなかったのが悔しい」
こぼれ球に対してちゅうちょすることなく、得意の左足を振った。だが、ボールは外側のサイドネットを揺すった。そこに至るまでの右サイドの崩しは理想的だったし、逆サイドからサイドバックがゴール前にもぐり込んできてシュートに結びつけたことは、今年のチームの勢いを象徴するワンシーンだっただろう。
いわば「第2のデビュー戦」とも言えるこの試合で、勝利を逃した悔しさばかりが色濃く残った。自慢の左足を振り抜いたシーンのように、思い切りよくアグレッシブなプレーで、この悔しさを消し去りたい。 取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
●サッカーマガジンWeb編集部
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