【番記者推奨!新潟のブレイク候補】スピードに乗ったドリブルとパンチのあるシュートが売りの三戸舜介。二桁達成を目標に「余裕を持って、相手をいなす」プレーに注力
駆け引きしながら持ち味を出す
来るべき2023年シーズン、リーグを盛り上げるのはいったい誰か。新たなスターは生まれるのか、未来を切り拓くニューヒーローは出現するのか。番記者推奨のブレイク候補、今回はアルビレックス新潟のMF三戸舜介だ。
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「自分がボールを持ったら会場が沸くくらい、ワクワクされる選手になりたい」
J1昇格とJ2優勝を決めた昨季の終わりに、三戸は目ざす選手像をそう語った。
サポーターから“みとちゃん”と親しまれる20歳。チームでは左右のサイドハーフを務める。足もとのテクニックと敏しょう性に優れて、スピードに乗ったドリブルと小柄ながらもパンチのあるシュートが武器だ。
昨季を締めくくるJ2最終節のFC町田ゼルビア戦では2得点を挙げて、2-1での勝利に貢献。1点目は自陣でボールを奪って味方に渡すと、ゴール前へスプリントしてパスを受けて、ミドルシュート。決勝点となった2点目は、ワンツーで抜け出して、出てきたキーパーの頭を超える技ありのループシュート。三戸らしさが詰まったゴールで、会場を沸かせてワクワクさせた。
この活躍で、試合後のJ2優勝セレモニーは、そこにいる全員を笑顔にさせられた。その後、個人としては、約5か月ぶりにU-21日本代表メンバーに選ばれた。 「ゴールを取って、チームに貢献できる選手になりたい。自分も変わっていかないと」と、年明けに三戸の話す言葉は、少し変化した。
昨年11月のU-21代表の欧州遠征では、スペイン、ポルトガルの同世代と親善試合を行なった。「ちょっと自信を失った。向こうの選手は止める・蹴るが本当に上手くて、ミスが無い」と衝撃を受けたと、年明けのトークイベントで明かした。
また、遠征と同時期にカタールで行なわれていたワールドカップからも、「あの大会に出たくなりましたし、自分があのピッチに立てたらすごいなって」と刺激を受けた。まずは、年代別代表に選ばれ続けて、来年に開催が迫るパリ五輪に出場することを目標にする。
だからこそ、プロ3年目は結果にこだわる。21年はJ2で2得点、22年は6得点と結果を出してきたが、J1に昇格した今年は二桁得点を目標に掲げる。
去年は、怪我で長期離脱した悔しさもある。5月に2得点・2アシストでDAZNのJ2月間MVPに選ばれて、6月にはU-21代表としてU-23アジアカップに出場した。
しかし、帰国後すぐの7月2日の試合で右鎖骨を骨折。調子を上げてきた矢先に、リーグ戦10試合を欠場することになったのだ。復帰後、3得点を挙げてJ1昇格の力になったが、満足はしていない。
結果を出すために意識するのは、武器の使いどころだ。
「自分の良さを伸ばして、余裕を持ったなかで、それを出したい。自分はドリブルとかスピードに乗ったプレーが特長だけど、“キツキツ”でプレーすることが多い。余裕を持って、相手をいなす感じのプレーをしていきたい」
ギリギリですり抜けて入っていたシュートは、J1では止められてしまうかもしれない。人一倍負けず嫌いな熱い気持ちと、無理が利く身体能力があるがゆえに、制御しきれなければ怪我や退場でプレー時間を失うリスクもある。「考えすぎてもダメだけど」と、今はキャンプでトライしながら、そのさじ加減を調整しているところだ。
思い切りの良い突破からのシュートは大きな魅力。でも、今年は駆け引きしながら持ち味を出す、少し大人の“みとちゃん”に注目だ。
取材・文●野本桂子(フリーライター)
●サッカーダイジェスト
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