【J2ベストイレブン受賞】伊藤涼太郎&小島亨介が語る「勝負強さ」 アルビレックス新潟の2022年
BSN新潟放送では、アルビレックス新潟のJ2優勝とJ1昇格を記念した特別番組を放送しました。その中から2022シーズンの振り返りと「勝利の要因」についてのトークをお届けします。
激闘だった2022明治安田生命J2リーグを振り返って
―伊藤選手、今シーズンは新加入選手として全試合に出場しましたが、あらためて今シーズンを終えてどんな思いを巡らせましたか。
【伊藤涼太郎選手】いや、本当に今年いろんなことが起きて、こうやって昇格できたってのはよかったですけど… 苦しいときも嬉しいときも本当に全員で乗り越えてきたので、思い出してちょっと泣きそうだったんですけど、それぐらい濃かった1年でした。やっぱり、最後の昇格が決まった瞬間、あの試合のことを思い出すと、なんか熱くなるというか。すごい、このチームに来てよかったなって思える瞬間でした。
―J1昇格を決めた仙台戦はどんな思いでプレーしたのでしょうか。
【伊藤涼太郎選手】『この試合で絶対勝って昇格』っていうのは決めてましたし、また自分のゴールで絶対に勝てるっていうのは思ってたんで、それがうまくピッチで表現できたのでよかったです。
―小島選手は今季けがから復帰して、全試合フルタイム出場しましたが、今シーズンを振り返ってみていかがですか。
【小島亨介選手】いや、本当に充実してましたね。42試合出させていただくことは僕自身も初めてだったんで、いろんなことあった中で、最後優勝できたことは、すごい嬉しかったです。もういろんなことが本当にあって、至恩の移籍(本間至恩選手のベルギーリーグ移籍)だとか、よしくんの『けが』(第37節の水戸戦で右膝前十字靭帯損傷の大けがをした高木善朗選手)だとか、途中勝てなかった時期だとか…今振り返って、こんなこともあったなと思いました。
―振り返ってみて、印象的だったシーンは
【小島亨介選手】やっぱり、シャーレを掲げたときと、J1昇格が決まった試合の終了のホイッスルじゃないすかね、やっぱり。ぐっときました。すごく感動しました。
2022シーズン アルビレックス新潟の「強さの要因」を探る
―今季、快進撃を見せたアルビですが、ここからはOBの野澤洋輔さんにアルビの強さの秘密をうかがいます
【野澤洋輔さん】J1昇格とJ2優勝できた要因というのは、たくさんあると思うんですけれども、僕なりに今年は『勝負強さ』が際立っていたなっていうふうに思うんですね。今シーズン、先制点を挙げた試合は負けてないんですよ。
―すごいですよね。
【野澤洋輔さん】先制した試合できっちり勝つと。相手に点を取られる前に2点目を取るといったところとか、あとは逆に、アウェーの山形戦みたいに先制されてたけれども追いついて試合を終えることができた。 ここら辺の『勝負強さ』が昨年よりも一段と強くなったなって思ったんですけど、お2人はどうですか、勝負強さについては。
【伊藤涼太郎選手】僕は今年来たばっかりですけど、すごい勝負強いなと思ったし、やっぱ、ちょっと負けそうだなって思うと、今言ったみたいに山形戦とか、それこそホームの徳島戦。やっぱ、ああいう試合を引き分けにできたっていうのは、本当にチーム全体の総合力がすごい高いからこそだし、そういう試合があったからこそ、今こういう結果に結びついたんじゃないかなと思います。
【野澤洋輔さん】1対0で勝った試合もありましたもんね。
【小島亨介選手】そうですね。ありましたね。
【野澤洋輔さん】キーパーとしてはやっぱり、1対0で勝つ。そこは勝負強さを見せるところですからね。 【
小島亨介選手】もう気持ちいいですよね。最高ですよ。
―今シーズンは「3対0」や「2対0」というゲームも多く、本当に失点も少なかったなと思うんですけれども、そこも勝負強さに繋がるのかなと思いました。
【野澤洋輔さん】展開が不利にならないというところ、先制をするまでゼロで抑えることがすごく大事ですし、先制点を決めた後に、相手に追いつかせないように失点を抑えて、そして攻撃で追加点を取る。相手にダメージを与えるというところが今年はすごくよかったなと思います。
―今シーズンを戦ってみて、小島選手は精神面で、去年と比べて何か変化とかはありますか。
【小島亨介選手】『我慢強くなったな』っていうのは感じます。もちろん試合の中で苦しい時間帯もあるんですけど、攻められても、みんなでしっかり我慢強く守ろうっていう共通意識があるので、それを信じて戦った結果が、結局試合を終えたら勝ってるという感じだったんで。
ーどうやって精神力の強さが根付いたのでしょう。やっぱり監督の存在は大きかったりするんでしょうか?
【小島亨介選手】かなり大きいと思いますよ。選手にかける言葉とか、かけ方とかも含めて、本当にモチベーションが上がりますし、やっぱり『最後まで諦めない』っていう気持ちが出ます。
―伊藤選手は監督からかけられた言葉で、何か印象的な言葉はありますか?
【伊藤涼太郎選手】『目の前の敵が最強の敵』みたいに、本当に名言っぽいことをミーティング中にズバズバ言うんで。正直、ちょっとミーティングって眠たくなることってあるんですけど。でもリキさん(松橋力蔵監督)のミーティングは心に刺さりすぎて眠くならないっすね。
―一言一言ボキャブラリーの豊富さがあって、取材をしていても、ぐっとくる言葉があるなと思いますね。
データで振り返る 今シーズンのアルビレックス新潟
―ここからは今シーズンをデータで振り返っていきたいと思います。 伊藤選手は9ゴール11アシストと、チームで一番得点に絡みました。チームがリーグトップの得点をあげたところ、そしてペナルティーエリアの進入回数が多く、攻撃的に戦えたポイントはどのようなところにあると思いますか?
【伊藤涼太郎選手】やっぱ攻守の切り替えっていうところと、やっぱり何回も何回も挑み続けるっていうか。その姿勢っていうのが、この数字に繋がってるかなと思います。
―何回も何回も挑む、体力面では大変なんじゃないですか?
【伊藤涼太郎選手】大変ですけど、やっぱり守備してる時間よりも攻撃してる時間の方が楽しいですし、体力的にも攻撃してる方が楽なんで、ずっと自分たちでボールを持って、何回も何回もっていうところを意識してやってきました。楽しいですし、僕は守備嫌いなんで。あんまり守備してる時間が長いとちょっとイライラしてくるので、なるべく自分たちでボールを保持するように心がけてます。
―小島選手は守備面でリーグ最少失点の35失点。そして、1試合あたりのカウンターを受ける回数が1回に満たないというところ、どのようなチームの攻守面ポイントがあってこのような数字が出来たと思いますか。
【小島亨介選手】一番はカウンター食らうときの切り替えのところですよね。切り替えの早さが一番良かった部分かなと思います。僕はゴールキーパーなんで、後からの指示で攻撃してるときの、後ろのバランスとかリスク管理っていうんですけど、次、相手が攻めてきても対応できるようにというところは常にコーチングしてたんで、すごくバランスよく戦えたと思います。コーチングでは、リスク管理のところでは結構言ってましたけど、はい。
―どんな言葉を?
【小島亨介選手】本当に、『もうちょっと前』とか、そういう細かいポジショニングのところの指示とか、あとは相手選手がここにいるから少し気にかけておけとか。
―攻守にわたってバランスが良かった今シーズンだと思うんですが、野澤さんは総合的にデータを見ていかがですか。
【野澤洋輔さん】やはり得点と失点のところ、ここは文句ないですし、あと、このペナルティへの侵入回数やカウンターの部分。小島選手が『切り替えを早くして』と言ってましたけど、押し込んだ中でやるチームってのはカウンターを受けやすいんですけど、それを切り替えを早くしてボールを奪って、また攻撃に繋げるといったところで、本当こういうデータがもうこのリーグ制覇を物語ってますよね。
―カウンター受けた回数が1回に満たないというところもすごいなと思いますし、やっぱり1試合で20回近くペナルティーエリア内に進入しているというところ、難しいんじゃないですか?
【伊藤涼太郎選手】そこまで別に、こっからこう行ってとか考えずに、多分みんな『感覚』でやってると思うんで、そこまで意識してるということはないですかね。基本的な部分、切り替えだったりとかということは認識しますけど。本当に、全員の意思疎通っていうか日頃の練習から積み上げてきてるものを、試合で今年はたくさん出せたかなと思います。
―練習から意思疎通の部分は、重点的にやったなっていう印象ありますか?
【伊藤涼太郎選手】練習メニューとかもそうですし、攻守の切り替えというところは非常に言われましたし、練習中でも奪われたときのシチュエーションの練習とかも今年はしたんで、そういったところでこの数字が出てると思いますね。
―練習の成果が十二分に発揮できたシーズンだったということですね。
※2022年11月3日放送 BSNテレビ特別番組より(一部構成を変更しています)
●BSN新潟放送
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