アルベル監督が残した“道しるべ”アルビが確立したスタイルとは 6年ぶりのJ1復帰《新潟》
J2での苦しい時期を経て新たなスタイルの確立へ…J1昇格までの道のりを振り返ります。 14年間に渡りJ1で戦ってきた新潟。J2への降格が決まったのは2017年のことでした。
<アルビレックス新潟・中野幸夫社長〉
「1年で戻るということを目標に掲げて」
しかし、待っていたのは厳しい現実でした。様々な戦術のチームがしのぎを削るJ2。J1復帰はおろかJ3の足音も聞こえる危機的な状況に陥ります。 クラブは2016年から4年連続でシーズン途中に監督を交代。そのたびに戦い方が変わりチームは“スタイル”を模索していました。当時監督を務めていた吉永一明氏が語っていたのは―。
〈吉永一明監督(当時)〉
「ビジョンがあって、それに合った監督がいて、それに合った編成があって、1年前に勝負はほぼほぼ決まっているくらいのつもりで動いているクラブが上位にいるクラブ」
チームが目指す“スタイル”を求めた先に―。
〈アルベル監督(当時)〉
「ボールに愛を。例えばボールが奥さんだとしたら、逃げれば攻撃的に追いかけなければいけない」
おととしスペインの名門バルセロナで育成年代を指導してきたアルベル氏が監督に就任。パスをつなぎ自らアクションを起こす“攻撃的なスタイル”を浸透させました。 就任2年目の去年は開幕から13試合負けなしとリーグを席捲。後半戦の失速で昇格を逃しアルベル監督は退任しますが、チームにはひとつの“道しるべ”が残りました。
〈アルベル監督(当時)〉
「私にとって最も重要なのは私がこのクラブを去るときに何かしらを残すということ。いまクラブに浸透し始めたプレースタイルそのものです」 迎えた今シーズン。
〈松橋力蔵監督〉
「もっと攻撃的にダイナミックな部分を選手に伝えていきたい」 去年コーチを務めた松橋力蔵監督のもとスタート。 開幕5試合目に初勝利を挙げると、ことし5月には今シーズン初めて首位に立ちます。 プロ入り2年目の三戸や小見など若手選手も台頭し、熾烈な昇格争いを演じてきました。
〈堀米悠斗主将〉
「J1の舞台でどれだけできるか試したくて仕方ない。いまいる将来有望な若手のためにもなる」 キャプテン堀米を中心に一丸となったチーム。 しかし9月の水戸戦、攻撃の核・高木善朗が右ヒザ前十字靭帯を損傷。今季の復帰は絶望的となります。
〈松橋力蔵監督〉
「高木の魂がみんなに乗っかったんじゃないかと思います」
〈堀米悠斗主将〉
「誰かのためにという思いが強くなるほど、いつも以上のパワーが出ると思うので」
『高木をJ1へ連れていく』―。 昇格への“誓い”はより強いものになりました。 8日の一戦。 3万3000人の観衆が昇格を後押しします。 6年ぶりのJ1復帰。キャプテン堀米はサポーターに感謝の思いを伝えました。
〈堀米悠斗主将〉
「いつ見放してもおかしくない、そんな時代を乗り越えてずっとサポートしてくれたこと感謝しています。みんなであと2試合勝ちにいきましょう。1番上を目指しましょう。ありがとうございました」
悲願のJ1昇格を決めたアルビレックス。確立した“スタイル”で次はJ2の頂点へ。
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