伊藤涼太郎の「まるでゴルフ」な先制点!新潟、仙台に「3-0快勝」で「J1昇格」!!歓喜のビッグスワンにあったキャプテンの「涙」と松橋監督の一貫姿勢「まだ残り2試合ある」【J2「熱狂!!」】
■「焦れない」新潟が後半に爆発!!
デンカビッグスワンスタジアムが、特別な歓喜に包まれた。
J2リーグ40節が10月8、9日に行なわれ、アルビレックス新潟が17年以来となるJ1復帰を決めた。
今シーズンの新潟は、ホームで圧倒的な強さを見せてきた。25節のジェフユナイテッド千葉戦に敗れるまで、11戦負けなし(10勝1分)を記録した。通算では15勝2分3敗で、リーグ最多の勝点を積み上げてきた。
焦れない戦いができている。前半のうちに先制点を奪えなくても、後半が0対0のまま推移しても、自分たちのペースを乱すことはないのだ。先発に抜てきされた選手や交代出場の選手が結果を残してきた成功体験が、戦いぶりに安定感をもたらしている。
ベガルタ仙台をホームに迎えたこの日も、後半に試合を動かした。
64分、左サイドのスローインを素早く再開し、MF伊藤涼太郎がボールをおさめる。ターンして持ち出した伊藤は、ボランチの島田譲にあずけてペナルティエリア内へ侵入する。リターンパスを受けると、右足でゴール右スミへ流し込んだ。フックラインを読みきったゴルフのパッティングのように、ボールは気持ち良さそうにピッチを転がっていった。月間ベストゴールの候補に加えたいテクニカルな得点だった。
77分の追加点も伊藤が決めた。ペナルティエリア内左から、島田がシュート性のクロスを入れる。DFがブロックしたボールを、今度は左足ボレーで蹴り込んだ。背番号13を着ける24歳は、今シーズン初の1試合2得点で、MF高木善朗、FW谷口海斗に並ぶチームトップタイの9ゴールとした。
■J1復帰でも「まだ2試合ある」
新潟は30節の徳島ヴォルティス戦を最後に、9試合連続で複数失点を許していない。2対0は彼らにとってセーフティリードと言うこともできたはずだが、攻撃の手を緩めない。後半アディショナルタイムに決定的な3点目を奪う。カウンターからFWアレクサンドレ・ゲデスが持ち出し、MF秋山裕紀、松田詠太郎の3人で相手守備陣を翻弄する。最後は松田のアシストからゲデスが難なくプッシュした。
仙台のキックオフで再開された直後、試合終了のホイッスルが鳴り響く。オレンジ色に染まったホームのファン・サポーターから、歓声と拍手が降り注がれる。3万人を超える観衆が作り出す熱には、声にはならない思いもあっただろう。キャプテンで左SBの堀米悠斗の涙に、感情を揺さぶられた観客もいたに違いない。J1復帰を信じてきたたくさんの思いが折り重なり、松橋力蔵監督のチームは2試合を残して2位以内を確定させた。
「まだそこまでの実感が、グッとわいていないのも事実ではありますけど、ホントに大きなことを成し遂げたのは確かだと思います。ただ、まだ残り2試合あるというのが僕のなかにも、選手のなかにもありますので、喜ぶときにはしっかり喜んで、しっかり切り替えてまた次の試合に挑みたいなというのがいまの気持ちです」
試合後の松橋監督は、いつもどおりに落ち着いた表情で話した。J1復帰という大きな成果をあげた直後でも残り試合に視線を向けるのは、目前の試合に集中してきた今シーズンのスタンスそのものだ。J1復帰はあくまでも通過点であり、次節の東京ヴェルディ戦から新潟は新たな一歩を踏み出すのだろう。
●サッカー批評Web
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