“J1出場ゼロ&代表歴なし”でもベルギー名門から1.6億円超オファー…164cm本間至恩(21)は何がスゴい? 新潟との「幸せな別れ」とは #1
J2アルビレックス新潟MF本間至恩(21歳)がベルギー1部リーグのクラブ・ブルージュへ完全移籍すること発表した。
このニュースは新潟のみならず、多くのサッカーファンに大きな衝撃を与えた。
その理由の1つに、本間はまだ一度もJ1でのプレー経験がないことにある。日本代表はおろか、昨年の東京五輪代表の選出歴がない21歳の若手選手だけに、マーケットが拡大していることを改めて実感する移籍だった。
さらに驚きなのは「完全移籍」という点だ。
移籍金は推定120万ユーロ(約1億6500万円)と報道されている。これまで海外移籍を果たした若手選手の多くが買取オプション付きのレンタル移籍で、いわゆる“様子見”のニュアンスを含んだものだった。契約年数が切れるタイミングを狙った「ゼロ円移籍」のケースも少なくなく、今回は極めて珍しいパターンだといえる。
また、クラブ・ブルージュはベルギーリーグで現在3連覇中で、新シーズンのチャンピオンズリーグには本戦からの出場を決めている。そんな名門クラブが億単位の金額を本間に提示したということは、クラブ首脳陣が本間を戦力として捉えて獲得に動いたということに他ならない。
そんな高い評価を受けた本間とは、一体どんなキャリアを歩んできたのか。
独特なリズムのドリブルは「凶器」
一番の魅力はドリブル技術の高さにある。J2では今や“無双状態”にあり、他の若手選手とは一線を画していると言っても過言ではない。
本間のドリブルは新潟の下部組織時代から際立っていた。164cmという小柄で華奢な体つきだが、巧なフェイントとボディシェイプを駆使して独特のリズムを刻み、常に相手の逆を突く。絶妙なファーストタッチから一気に仕掛け、一瞬にして相手を置き去りするシーンはジュニアユース、ユースの試合でもよく目立っていた。まるで、守備網を嘲笑いながら破壊する「凶器」といった衝撃があった。
その「凶器」は早くからプロのピッチでも披露されてきた。
当時高校2年だった2017年4月にトップチームに2種登録され、同年5月31日にはルヴァンカップのヴィッセル神戸戦に途中出場してクラブ史上最年少で公式戦に出場した。一緒にプレーしたクラブのレジェンド・本間勲(現・アルビレックス新潟強化部門スカウト)は当時の本間の印象をこう振り返る。
「相手の逆を取るドリブラーはたくさんいますが、(逆を)取った後の速さとなると、あそこまで速い選手はそういないと思います。体勢が崩れた後にあのスピードでグッとこられたらDFは対応できませんし、もう1枚のDFがカバーに入ったとしても、次の動きのフェーズに入っていて加速しているので捕まえきれない。結局はファールで倒すしかない。しかもそれを高2でやっていたわけですから、『ちょっとモノが違うな』と思っていました」
この頃からサポーターの間では「新潟の至宝」と呼ばれるようになった。
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