アルビレックス新潟はアウェーで大宮アルディージャと2-2で引き分けた。開幕からアウェー2試合連続のドローで今季初勝利はお預けも、2点ビハインドを追いつく執念を見せた。0-2の後半23分にMF高木善朗(29)が今季チーム1号ゴールで1点を返すと、3分後にMFイッペイ・シノヅカ(26=J1柏)の移籍後初ゴールで同点。MF本間至恩(21)が得意のドリブル突破から2アシストと得点を演出し、勝ち点1をもぎ取った。ホーム開幕戦となる次節3月5日はデンカビッグスワンスタジアムに山口を迎える。

今季チーム第1号ゴールを決めたのは、やはりこの男だ。2点を追う後半23分。ドリブルで中央に切り込んだ本間からのラストパスに抜け出した高木が、飛び出した相手GKの頭上を越す右足チップでネットを揺らした。「(本間)至恩とイメージの共有ができた。いいパスだったので冷静に流し込むだけだった」。だが、2点を追う状況でのゴールだけに笑顔はなし。メンバーからの祝福にも、小さくガッツポーズを繰り返して自陣に戻った。

高木のゴールで息を吹き返したチームは一気にたたみかける。3分後の後半26分。本間の左クロスにタイミング良く飛び込んだイッペイ・シノヅカが豪快なヘディングで同点弾を決めた。「試合前から至恩に『頼むよ』と言っていた。信じて走り込んだ」。今季J1柏から期限付き移籍で加入した背番号17が、開幕2戦連続スタメン出場にゴールで応えた。「入って良かった。ただ、チャンスはもっとあった。最後の質をチーム全体でもっと上げたい」と満足はしていなかった。

前後半の序盤に失点する苦しい展開となったが、アウェー戦で引き分けに持ち込んだ。松橋力蔵監督(53)は2点差を追いついたことを評価しながらも「先に失点しているので、今日のような展開が今後に生きるかは分からない」と首をかしげた。高木も「後半の頭に2点目を失ったので、最終的に引き分けに終わってしまった」と振り返ったが、「(開幕の)仙台戦よりは攻撃に厚みを出すこともできた。次に向けていい準備を進めたい」と気持ちを切り替えた。

開幕から2戦連続のアウェー戦は2分け。次節は山口を迎えてのホーム開幕戦だ。同点ゴールを決めたイッペイ・シノヅカは「いいサッカーをして、ホームのサポーターとともに勝利を喜びたい」とホームでの今季初勝利を誓った。【小林忠】

■本間が起点、監督も絶賛

左MF本間がドリブルで攻撃をけん引した。後半23分には相手DFを引きつけてからの浮き球パスで高木のゴールをお膳立て。3分後には、どんぴしゃクロスでイッペイ・シノヅカの同点弾を演出した。松橋監督は試合後、本間に対し、「全員を抜いてゴールを決めてほしい」と冗談を飛ばし、「前半はおとなしかったが、後半に相手にダメージを与えた」と絶賛していた。

■ロシア国籍のシノヅカ「心が痛い」

ロシア国籍を持つイッペイ・シノヅカはロシアのウクライナ侵攻に心を痛めている。「政治的な理由にあるにしろ、戦争はやってはいけない」と語気を強めた。千葉県生まれで東日本大震災後に母の母国ロシアに移住しプロになり、17年からは日本でプレーする。「ウクライナに友人もいるし地下鉄に隠れている知り合いもいる。映像を見ると心が痛い」とSNSを通じ支援を呼び掛けるという。

●日刊スポーツ